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Interview【早稲田大】東 達也/山田純也/井手勇次/久保田 遼 【慶應義塾大】小林大祐/酒井祐典


「今日の感覚を忘れずに、1部へ」
1年越しの決勝点をあげたエースの目は秋を見据える

#7井手勇次(早稲田大・3年・SG)

残り15秒、1点ビハインドの場面。
2点でもよかったが、井手は迷わず3Pシュートを打ち、決めた。
早稲田大にとっては長く長く感じられた残り時間を守りきると、久しぶりにエースの顔に笑みが浮かんだ。
毎年、チーム事情でカラーががらりと変わる中、コンスタントなパフォーマンスを見せてきた井手は、「この感覚を忘れないように」と繰り返した。
これで、早稲田大が力を持っていることは示したが、本番は秋の2部リーグとなる。
この大きな勝利を飛翔のきっかけとすることができるか。

―早慶戦勝利おめでとうございます。
「ありがとうございます。自分としては初めての勝ちなので嬉しいです。去年は延長まで持って行ったけれどだめだったので…。だから実は、最後に酒井(慶應大#15)にスリーを打たれてしまったときは“またか?”と思ったんですよ(※1)。酒井のところがあいてしまったのは、僕的には二ノ宮(慶應大#16)に打たれる方が怖いなと思ってヘルプに行ったからなんです。でもそれで酒井のところに誰もいなかったときは“やばい!”って(苦笑)。外してくれてほっとしました。そのリバウンドを取れたのもすごく大きかったです。正直延長には怖さもあるので…本当にあれで決められてよかったです」

―最後は劇的な幕切れでしたね。まず、出だしで一気に離されてしまったときの気持ちはどうでしたか?
「トーナメント(※2)の入りがよぎって、まずいなと思いました。本当に早めに立て直さないと、またこのまま離されてやられてしまうと。ただ、トーナメントの時と違ったところを言えば、今日はシュートが入っていなかっただけで、それほど悪い攻めではなかったんです。だから“パッシングをやろう”と再確認して。トーナメントでは口でそう言っていても動きが止まってしまっていたんですが、今日は1人ひとりが意識していたし、決まった動きがあったのでそれをやって我慢できたと思います。あとは、もう自分が行こうと。トーナメントではちょっと大人しくし過ぎたと思うので、今日は自分で流れを作るぞって気持ちでやって、結果的に3Pやバスカンにつなげられたと思います。そんなふうに自分たちの流れというものがわかっていたので、そこからまた離されたりもしたんですけど、ディフェンスやリバウンドを粘り強くできたし、それが最後につながっていったかなと思います」

―立ち上がりもそうですが、その後離されてのタイムアウトのときに、倉石監督のすぐ後に井手選手が皆に声を掛けていたのが印象的でした。
「気になったことを言わないでやられたら悔いが残るので。思ったことは全部言って、やれることは全部やろうって思っていました。言っていることは毎回違いますが、今日はパッシングの動きだったり、ディフェンスのやりとりだったりの確認をすぐ皆でやりました」

―そのディフェンスですが、慶應大にリバウンドをこれほど渡さず、さらに走らせずに60点台に抑えられた要因はなんでしょうか。
「ロースコアに持ち込めたのは戦略で、倉石さんに言われた作戦通りにやっただけです。リバウンドの方は、トーナメントでかなりやられてしまったのですが、そこって気持ちでどうにかなるものだと思うんですよ。ボックスアウトのやり方は皆知っていますよね?後は、追う姿勢の違いです。だから、今日は試合前のミーティングの時、倉石さんに“1番大事な、やらなきゃいけないことはなんだ?”と聞かれて、皆で“リバウンドとルーズボール”と言うくらい、大事なテーマでした」

―リバウンドやルーズボールを泥臭く取りに行くというのは今年の早稲田のテーマでもあるのですか?
「はい。今までは何と言うか…弱かったですね。メンタル的な部分がすごく影響してしまって。今日は、もうアップのときから気合が違っていて、それが試合にも出てきたんだと思います」

―後半は離されてもまた追い上げて、まず残り1分に井手選手のシュートで逆転のチャンスがあったんですが…。
「あれは、パッシングからいい流れでノーマークで打てたんですが…あのシュートに限らず、今日は決められないところが多かったです。3Qの入りも、決めないといけないところを2本外してしまって。金井からのノーマークのパスだったんですが、ああいうのをもっと確実に入れられるようにしたいです。けど、最後の3Pをその分入れたので、プラスマイナスゼロにしてください、みたいな感じです(笑)」

―その残り15秒での3Pは、打つと決めていたのですか?

「絶対入れるとは思っていました。でも、金井としてはディフェンスをひきつけた後逆サイドにパスでもよかったんです。ですけど、信頼関係があるので“来るだろうな”と思いながら、自分は打つと決めていました。それで岩下(慶應大#7)の場所を見て、コーナーだったら距離的にブロックに追いつかれる可能性があるから、動きながら二ノ宮がヘルプに行ったところで45度に上がった方がいいかなとか考えていて。そうしたらその通り金井のドライブに二ノ宮が寄って、金井からちょっとそれましたけど(笑)パスがきた。あの場所からの3Pは、高校の八王子戦と似ていた(※3)ので、自信はありました。でも最後が自分だっただけで、皆で勝ったという感じです。久保田(#20)がやろうとしていた通りに、ミスマッチの岩下を逆に攻めて決めてくれたり、それぞれがいいところで決められたと思います」

―これで、今シーズンこれからチームが目指す先も見えてきたのではないでしょうか。
「本当に、この早慶戦までは一言で言ったら“最う迷いが正直ありましたが、この早慶戦で見えてきた部分があると、1人ひとりが感じていると思いま悪”ですよね。結果を見てもそうですし、内容を見てもそう。早稲田のバスケットって何だろう?といす。それはすごい収穫です。この気持ちを忘れないで、秋に向けてやりたいですね。怖いのは今日に浮かれてしまうこと。こういう勝ちの後って悪いことががくんとくるものなんです。だから本当に今日の、アップの時からの感覚を忘れないようにしたいです」

―それが「できる」のはわかったので、リーグでもそれをいかに「出せる」かですね。1部では、東海大・多嶋選手や日本大・篠山選手といった高校時代のチームメートが待っています。
「実はトーナメントが終わったあとチーム力が落ちてしまっていたこともあって、早慶戦ではどこを攻めたらいいかなってビデオを見たりしながらずっと考えていても、浮かばなくて。それで朝飛(多嶋)や竜青(篠山)にメールで相談していました。特に朝飛は真面目なので、“酒井と田上さんには仕事をさせるな”とか長文メールを返してくれて…。本当に1部に上がりたいです。個人的にも今年3年で、練習に来てくれるOBの岩隈さん(現JBL日立)たちにも“今年あげないときついぞ”と言われていますし、今年が勝負だと自分でも思っているので、今日の気持ちを忘れないで頑張ります」


※1 1週前に行われたトーナメントでは、早稲田大は6回戦で慶應大と対戦。65-89で敗れてベスト16となった。
※2 昨年の早慶戦では、残り10秒、早稲田大1点ビハインドの場面で井手選手が3Pを決めるも、慶應大・田上選手のシュートで延長に持ち込まれて敗れた。
※3 北陸高3年時のウインターカップ準決勝・八王子戦でも、残り30秒同点の場面で井手選手が3Pを決めて勝利した。

 


井手勇次/Yuji Ide
180cm/SG
早稲田のエースシューターとして期待されてきたが、今期から倉石体制の下でポイントガードを務める。クラッチシュートの確率は高く、勝負所ではこの日も大事なシュートを決めた。今後は司令塔として更なる飛躍が期待されるが、それでも得点源として相手チームに脅威を与え続ける選手であることは間違いない。

 

 

 

 

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